はじめに
子どもの中学受験をサポートする傍らで、親も資格を取ってしまおうという目論見の第3回です。
前回の語呂合わせを覚えていますでしょうか。
瀕死調理スコスコス
でしたね?
これは、プロジェクトマネジメントの10の知識レベルのうち、「統合マネジメント」を除いた9つの知識エリアの覚え方です。
これからしばらくはこの知識エリアの概要をまとめていきます。
あと、サピ流のスパイラル型の学習を採用しますので、ここで覚えきれなくても、いつかまた同じような話が出てきますので、ご安心を。
今回は「スコープマネジメント」について整理しました。
「スコープ」とは日本語では範囲のことです。中学受験で言えば、テスト範囲のことになりますね。
テスト範囲は超重要
「中学受験に挑戦する」と言っても、具体的に何の勉強を、どこまでしないといけないか、素人には見当が付きません。
私立中学校の入試要領を見ても、「国語」「算数」「理科」「社会」の4教科であることくらいしか、情報が載っていません。
これだけなら、
- 小学校のテストで毎回100点取れる程度で良いのか
- 教科書を丸覚えしないといけないのか
- 中学や高校の範囲まで先取りしないといけないのか
全く見当が付きません。
全国区の学習塾は、強力なネットワークを活かし、徹底的に調査しまくり、そらを元にカリキュラムを設計しているのです。
だから、
「塾が作ったテストで大体⚪︎⚪︎点くらい取れるだけの学力がつけば、⚪︎⚪︎中学に入れますよ」
「その学力をつけるためには、この教材を使って、1日⚪︎⚪︎時間勉強してください」
と言えるのです。
子どもたちが、何も考えずに目の前に出されたカリキュラムをこなすだけで、合格へ近づけるのは、このためです。
これが高額な塾代の対価の一つです。
学習塾のイメージとしては、誰でも瞬く間に理解できる「神授業」を想起しがちですが、今時、そこには、付加価値は見いだせないでしょう。
神授業なんて今時ユーチューブでタダで見れます。
また、前にも書いた通り、授業は単なる子どもへのインプット作業に過ぎません。
スコープマネジメントの真髄
スコープマネジメントのポイントは下記の2点です。
- 目標を具体的かつ明確にする
- 何をしないといけないかを明確にする
目的を具体的かつ明確にする
例えば、システム開発の現場でも同様で、スコープ決めが超重要です。
お客さんからの要望は、いつでも下記でしかありません。
「会社が儲かったり、仕事が楽になったりする気の利いたシステムをリーズナブルな価格で作って欲しい」
これをいかに具体化するかがシステム屋さんの腕の見せ所です。
ここで誤ると、悪名高きデスマーチプロジェクトとなるのです。
例えば、気の利いたお客さんが、「こんな感じにして」と、絵を描いて見せてくれることがあります。
この時に、馬鹿正直に絵に描かれた通り作ってしまうシステム屋さんがたまにありますが、
「こんなんじゃねぇ!」
とか怒られ、もめることになります。
お客さんは「絵に描いた通りのシステム」じゃなくて「会社が儲かるか仕事が楽になる気の利いたシステム」を望んでいるわけですからね。。。
・・・と少々愚痴ってしまいました。。。
つまり、システム開発の場合なら、
儲かるためにはどのようなシステムがあれば良いのか
そのシステムを作ったらどういう理屈で、いくら儲かるようになるのか
などをしっかりお客さんとコミュニケーションして合意しておくのが重要です。
中学受験なら、各科目、どの深さまでの学力をつけるのかという具体的な目標を設定することが重要になります。
何をしないといけないかを明確にする
志望校に合格するために、到達しなければならない具体的な目標が明らかになったとします。
次は具体的に何をしないといけないのかの整理が重要です。
プロジェクトマネジメントの教科書にはそのために、「WBS」を作りなさいと書いています。
WBSとは、Work Breakdown Structureの略で、文字通り、Work(仕事)をBreakdown(細かく)することを意味します。一番細かい仕事の単位がワークパッケージと呼ばれます。
覚えないといけないことが多いですが、サピの子どもたちは、日本中の山とか川とか散々覚えさせられています。ここで挫けるわけにはいきません。
〇〇中学に受かる学力を身につける
↓
算数の学力を身につける
↓
割合を極める
↓
〇〇の教材で学ぶ
↓
・
・
・
と言うように、細かくしていくわけです。
もしスコープが変わったら?
おさらいですが、スコープマネジメントのポイントは以下です。
- 目標を具体的かつ明確にする
- 何をしないといけないかを明確にする
そうすると、目標が変わったらどうなるでしょうか?
中学受験だって、思いのほか成績が上がって志望校を変更することもあるでしょう。
そうなったら、当然やることも変わってくるので、WBSを作り直さねばなりません。
かなーり、大変ですよね?
そういうことも、塾はやってくれるんです。
システム開発の現場では、スコープの変更なんて日常茶飯事です。
スコープが変われば、WBSも変えねばなりません。
ただ、締め切りまで時間がないとかで、
WBSの変更に十分時間が取れず、
なし崩し的に開発が進み、
現場が大混乱し、
深夜作業や休日返上が常態化し、
やっとの思い出作ったシステムが
パッとしない
という状態になることがあります。
そういう意味で、スコープマネジメントは重要なのです。
つづく