名乗り出るということ

仕事で疲れ果て帰ったある晩のことです。


妻は、起きて待っていてくれたのですが、
あまりにも眠たかったので、すぐに着替えて
子供たちが寝ているベッドに向かいました。


そして、子供のほっぺをプニプニ触りながら、
夢の世界へ入り始めました。


その時、まるで現実世界への別れの挨拶をするかのように、
僕のお尻から「プスッ」とおならが出たのでした。


その後に、本当の静寂が訪れ、僕は夢の中へと入り込んで
行きました。


それから、しばらくして、妻がベッドにやってきました。





「大変、子供が、ウンチもらしたみたい!!」




その声で、僕は一気に現実世界へ戻されてしまいました。



妻は、まだ騒いでいます。



「パパ! 子供のパンツの中確かめてみて!!」


僕は、まだ何が起こったのかわからないまま、
子供のパンツの確かめました。


「漏らしてないけど?」



「え、おかしいなぁ。むちゃくちゃ臭いんだけど…


僕は、一気に目が覚めました。


あの、ささやかな「おやすみ」のあいさつのつもりだったのですが、
恐るべきパワーを持っていたようです。


「どこかに、ウンチが落ちてたりしない??」


と、妻は、鼻をクンクンさせながら、
ベッド中の調査をしています。



そんな妻の姿を見て、僕は気まずくなってきました。
もう、とても正直に言い出せるような雰囲気じゃありません。



しかも、なぜか、笑いがこみ上げてきたのです…。


ここで笑ってしまったら、すぐにばれてしまうことでしょう。。。



「子供が寝ながら、オナラしたんじゃない?」



ああ、なんということでしょう!


僕は、あろうことか、子供に罪を擦り付けてしまったのです。。。


結果的にこの一言で、事態は収束し、
また静寂が戻ってきました。


でも、僕の心中はおだやかではありません。


心の中で、子供に何回も謝りました。



そして、次の日。


せっかくのお休みの日でしたが、その日はあいにくの雨でした。



子供たちは、お絵かきをして遊んでいます。


僕は、すこしパソコンをいじっていました。


その傍らに、飴玉が10個くらい転がっていたので、
なんの気なしに一つを口にしました。



その後、妻に頼まれ、いやいや
すすんで、お風呂掃除をしていたのですが、


リビングの方で、子供たちの騒ぎ声が聞こえ始めました。


また、しょうもないことで、喧嘩を始めたに違いありません。


僕は、お風呂掃除を途中で切り上げ、
子供たちの元へ向かいました。


「なに、さわいでんの??」


その問に対し、子供たちは、口を揃えて、


「飴が1個なくなったの!!」


…数えてたんかいな。。。


子供たちは、騒ぎ続けています。

いつの間にか、ママも巻き込まれ、
盗難事件が発生したかのような、騒ぎになっています。


「パパ知らない?」


「え?」


「し、知らんよ」



…また、やってしまいました。


すまん。

この雰囲気では、とても言い出せな…


ちょっと待て!


それでいいのか?


昨日のオナラの件を無駄にする気か!!


昨日の件を、本当に、すかしっ屁にしてしまうつもりか!!

僕は、後一歩のところで踏みとどまりました。


そして、勇気を出し、


「ごめん、実はパパがひとつ食べた」


と、告白をしました。




「なに、子供のお菓子を食べてるの!!!」



僕は、こっぴどくママに怒られました。



正直に言ったからと言って、褒められるわけではないんですね…。


でも、黙ってちゃいけない。。。


名乗り出るって、とてもとても大変なことだなあと思いました。