はじめに
「学問のすすめ」をSE向けにアレンジしようと思い立ち、初編を書き上げたのが昨年12月です(初編はこちら )。それから4ヶ月以上たってようやく続きをアップすることができました。と言っても、第二編に入る前の「端書」だけですが(^^;
自分で書いていてもかなり耳が痛いところがありますが、少しでもみなさまのお役に立てればと思い、自分のことは一切棚上げして書かせていただいております(^^;
それでは本編をどうぞ。
PMBOK読みのデスマーチ野郎にはなるな
心理学、宗教学から、天文学、物理学、化学、情報科学、ソフトウエア工学など「学問」には様々な種類がある。
いずれもみな知識や見聞を広げ、物事の仕組みを知り、人としての職分を知るためのものである。知識や見聞を広げるためには、人の話を聞き、自分で考え、書物を読むことが大切である。
そのため書物が読めることが学問をするうえで必須の条件となるが、それだけで学問をしているとは言えない。読書は学問をするための手段の一つにすぎない。家を建てる際ののこぎりと同じである。のこぎりは確かに必要だが、名前と使い方を文字で読んだだけで、実際に使い方が下手なら大工とは言えない。
プロジェクトマネジメントの知識体系であるPMBOK(Project Management Body of Knowledge)に読み込んでPMP(Project Management Professional)やプロジェクトマネージャの資格を持っていても、実際の開発プロジェクトで、メンバーを無駄に働かせたあげく、納期、予算も大幅に超過したうえに顧客の望んでいない仕様のシステムを納品するような者はプロジェクトマネージャとは呼べない。「PMBOK読みのデスマーチ野郎」とはまさにこういう者を指す。
プログラム言語の文法を数多く知っていても、顧客の業務について全く知らない者は満足度の高い業務システムは作れない。
孫子やマキャベリなどの古典や、ドラッカーを読みあさり、そこに書かれている内容について雄弁に語れても、自分の会社を成長させられず社員の苦労に報われない者は経営者としては失格である。
そういう者は単なる「飯食う字引」、言い換えれば「人件費のかかるgoogle」である。会社にとって、ひいては国にとっては無用、むしろ人件費がかかる分邪魔といっても過言ではない。つまり、書物を読むことだけが「学問」ではないのである。
本書のタイトルを「学問のすすめ」としているが、決して書物を読むことだけを勧めているのではない。先に第一編を書いたが、今後も第二編以降で各国の様々な分野の文献から、一般に知っておいた方が良いと思われる事柄を引用などしながら「学問」とは何かということを説明していく。
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